介護老人福祉施設

介護老人福祉施設(かいごろうじんふくししせつ)とは、介護保険法に基づいて介護保険が適用される介護サービスであり、心身の障害で在宅生活が困難な高齢者の日常生活を介護する施設である。

定義編集

介護老人福祉施設とは、心身の病気や障害により自宅で自力で生活することが困難であり、家族による在宅介護を受けることができない状況であり、在宅介護サービス事業者による介護が困難であり、在宅介護サービス事業者による介護よりも施設入所のほうが要介護者のクオリティ・オブ・ライフ (QOL) にとって望ましい場合、食事・排泄・入浴・就寝・健康管理などの日常生活の介護、心身の機能維持、通院への付き添い、急性の病気・負傷時の病院への搬送・付き添い、介護保険が適用されるサービスに関する相談などを行なうことを目的とする施設である。通称で特別養護老人ホームまたは特養と表現される。

サービスの種類・利用形態編集

入所。30日以下に限定して宿泊するショートステイ。昼間に送迎付きの通いでサービスを受けるデイサービス。

市場規模編集

2012年4月時点で6,399施設が認可されている[1]。2012年12月の月間の費用額は128,871百万円、介護費総額に対する割合は18.1%である[2]。2012年10月時点で入所受入れ可能人数は498,700人である[3]。

入所期限編集

入所契約では入所期限はなく無期限であるが、病気や障害が進行や悪化して、心身の状況が、生活施設である介護老人福祉施設でケアできる範囲内を超えた場合は、退所し病院への転院になる。急性期の病気や障害で急性期病院に入院する場合、3か月間は入所権を維持できるが、3か月以内に退院し施設に復帰できない場合は入所権は消失し解約と退所になる。入所権を保有した状態での入院期間は、介護報酬と食費は発生しない(請求されない)が、居住費(居室利用料)は発生する(請求される)。3か月以内に退院し施設に復帰できずに退所になった場合、病気や障害が介護老人福祉施設で受け入れ可能な状態に回復して、再入所を申請した場合は、他の入所待機者よりも優先的に入所できる運用にしている事業者もある。

利用対象者編集

要介護1~5のいずれかの要介護認定を受けている人。

居室編集

多床室 - 一つの居室に複数のベッドを設置して複数の入所者で利用する。従来型個室 - 一つの居室にベッドを1台設置して一室を一人の入所者が利用する。以前は「個室」と表現していたが、ユニット型の出現により「従来型個室」と表現される。ユニット型準個室 - 一つの居室にベッドを1台設置して一室を一人の入所者が利用する。居室10室単位で共有スペースであるロビー、ダイニング、簡易キッチン、バス(複数)、トイレ(複数)を共有し、共同生活をする。介護職員はユニットごとに専任になる。ユニット型個室との差異は、従来型・非ユニット型の介護施設をユニット型に改装した場合に、多床室を分割して個室に改装した居室である。ユニット型個室 - 一つの居室にベッドを1台設置して一室を一人の入所者が利用する。居室10室単位で共有スペースであるロビー、ダイニング、簡易キッチン、バス(複数)、トイレ(複数)を共有し、共同生活をする。介護職員はユニットごとに専任になる。

事業に必要な専門職編集

医師(配置義務はなく嘱託医の場合または提携病院の医師)、看護師、介護福祉士、訪問介護員、訪問介護員、管理栄養士、栄養士、社会福祉士、介護支援専門員、生活相談員

事業に必要な設備編集

居室(多床室の定員は原則として4人以下)、食堂、調理場、浴室、洗面所、便所、医務室、ロビー、ホール、事務室

入所手続き編集

入所希望者本人または代理権者(通常は配偶者か子供)は、個々の事業者に入所申込書を提出し、入所希望者である要介護者の、要介護度、心身の状況、現在の滞在場所・滞在期間、受けている医療や介護の状況、在宅の場合は家族介護者の状況などの、入所優先順位を決定する要素を数値化して、総合した数値により待機者の入所優先順位を設定する(先着順ではない)。国や都道府県や市区町村の統一申込制度は存在しない。入所待機者は2009(平成21)年度42万人と推定されるが[4]、入所待機者が1施設で何十人~何百人に達する施設もあり、いつ入所できるか不明なので、入所申込者は、入所できる時期を早め、入所できる可能性を高めるために、入所希望地域やその周辺で複数の施設に重複申し込みをして待機する状況であり、国や都道府県や市区町村の統一申込制度は存在せず、入所希望者・待機者の死亡や他施設への入所や入院により、入所申込している介護老人福祉施設への入所の必要性が消失していても、入所申込者が入所申込をしている介護老人福祉施設に入所の必要性が消失した状況や申し込みの取り消しを連絡する義務はなく、連絡されずに名目上・書類上だけ申し込み済みで入所待機状態になっている事例も多数あると推定されるので、実質の待機者は名目よりも少ないと推定される[4]。

利用者の負担額編集

利用者が支払う費用は、要介護度別と居室種類別の介護報酬の10%+食費+居室種類別の居住費である[5][6][7]。低所得者に対しては所得水準に応じて、食費と居住費に3段階の減免措置があり、減免分は基礎自治体である市区町村が負担する[5][6][7]。世帯の医療費+介護費を合算した高額療養費に対して、世帯合算した所得水準に応じて、4段階の自己負担限度額が設定され、限度額を超える高額療養費の支払いは免除され、免除分は公的な医療保険が負担する[8][9][10]。公的な介護保険が適用される介護を受ける場合は、介護保健が定める介護報酬の自己負担分+医療保険が定める診療報酬の自己負担分、入所・入院した場合の食費・居住費または室料などの支払いが発生する。低所得者に対しては所得水準に応じて、食費と居住費は3段階の減免措置により減免分は行政が負担し[5][6][7]、公的な医療保険が適用される医療を受ける場合は、世帯の医療費+介護費を合算した高額療養費に対する、世帯合算した所得水準に応じた、4段階の自己負担限度額制度により、自己負担限度額超過分は医療保険が負担するので[8][9][10]、利用可能な社会保障制度を全て利用すれば、本人や家族の所得水準により、本人や世帯の所得が原因で必要な介護や医療を受けられないという状況や、本人の介護や医療に必要な費用を配偶者や子供が負担を強いられる、負担せざるをえないという状況は存在しない[5][6][7][8][9][10]。

介護保険の介護報酬の自己負担分

平成24年度改定の介護老人福祉施設の要介護度別+居室種類別の介護報酬の自己負担分要介護度1日分の金額(円)[5]30日分の金額(円)[5]多床室2012年4月1日以前の設置多床室2012年4月1日以後の設置従来型個室ユニット型準個室ユニット型個室多床室2012年4月1日以前の設置多床室2012年4月1日以後の設置従来型個室ユニット型準個室ユニット型個室要介護163062357765965918,90018,69017,31019,77019,770要介護269969164772972920,97020,73019,41021,87021,870要介護377076271980280223,10022,86021,57024,06024,060要介護483983178987287225,17024,93023,67026,16026,160要介護590789885894194127,21026,94025,74028,23028,230

所得水準による自己負担の減免基準

平成24年度改定の介護老人福祉施設の所得水準別の減免認定基準所得水準自己負担の減免の対象と差額の負担[6][7]本人と世帯全体の課税所得額[6][7]第1段階食費と居住費が減免され差額は行政が負担本人が生活保護受給者第2段階食費と居住費が減免され差額は行政が負担本人の課税対象年間所得が80万円未満で世帯全員が住民税非課税対象者(課税対象年間所得が211万円未満)第3段階食費と居住費が減免され差額は行政が負担本人の課税対象年間所得が80万円以上211万円未満で世帯全員が住民税非課税対象者(課税対象年間所得が211万円未満)第4段階食費と居住費の減免はなく利用者が全額負担本人が住民税課税対象者(課税対象年間所得が211万円以上)

所得水準による食費と居住費の自己負担限度額

平成24年度改定の介護老人福祉施設の所得水準別の食費・居住費所得水準1日分の金額(円)[6][7]30日分の金額(円)[6][7]食費居住費食費居住費多床室従来型個室ユニット型準個室ユニット型個室多床室従来型個室ユニット型準個室ユニット型個室第1段階30003204908209,00009,60014,70024,600第2段階39032042049082011,7009,60012,60014,70024,600第3段階6503208201,3101,31019,5009,60024,60039,30039,300第4段階1,38032011501,6401,97041,4009,60034,50049,20059,100所得段階4は食費と居住費の減免対象ではないので、食費と居住費は介護老人福祉施設事業者が任意に設定する。上記の所得段階4の食費と居住費は、厚生労働省が公開している標準モデル価格である。大部分の事業者は食費は1日1,200~1,800円、30日36,000~54,000円、居住費は最も高いユニット型個室では1日1,800~3,500円、30日54,000~100,500円に設定している[11]。

介護老人福祉施設の要介護度別・居室種類別の所得水準第1段階の入所費

平成24年度改定の介護老人福祉施設の要介護度別・居室種類別の所得水準第1段階の入所費要介護度30日分の金額(円)[5][6][7]介護報酬の自己負担分食費居住費介護報酬の自己負担分+食費+居住費多床室2012年4月1日以前の設置多床室2012年4月1日以後の設置従来型個室ユニット型準個室ユニット型個室多床室従来型個室ユニット型準個室ユニット型個室多床室2012年4月1日以前の設置多床室2012年4月1日以後の設置従来型個室ユニット型準個室ユニット型個室要介護118,90018,69017,31019,77019,7709,00009,60014,70024,60027,90027,69035,91043,47053,370要介護220,97020,73019,41021,87021,8709,00009,60014,70024,60029,97029,73038,01045,57052,740要介護323,10022,86021,57024,06024,0609,00009,60014,70024,60032,10031,86040,17047,76057,660要介護425,17024,93023,67026,16026,1609,00009,60014,70024,60034,17033,93042,27049,86059,760要介護527,21026,94025,74028,23028,2309,00009,60014,70024,60036,21035,94044,34051,93061,830食費1日分の自己負担限度額は1日300円、居住費1日分の自己負担限度額は、多床室が0円、従来型個室が320円、ユニット型準個室が490円、ユニット型個室が820円。事業者が設定している食費と居住費が自己負担限度額を上回る場合は、厚生労働省が設定する標準の1日分の食費・居住費との差額を、行政が負担する。

介護老人福祉施設の要介護度別・居室種類別の所得水準第2段階の入所費

平成24年度改定の介護老人福祉施設の要介護度別・居室種類別の所得水準第2段階の入所費要介護度30日分の金額(円)[5][6][7]介護報酬の自己負担分食費居住費介護報酬の自己負担分+食費+居住費多床室2012年4月1日以前の設置多床室2012年4月1日以後の設置従来型個室ユニット型準個室ユニット型個室多床室従来型個室ユニット型準個室ユニット型個室多床室2012年4月1日以前の設置多床室2012年4月1日以後の設置従来型個室ユニット型準個室ユニット型個室要介護118,90018,69017,31019,77019,77011,7009,60012,60014,70024,60040,20039,99041,61046,17056.070要介護220,97020,73019,41021,87021,87011,7009,60012,60014,70024,60042,27042,03042,71048,27058,170要介護323,10022,86021,57024,06024,06011,7009,60012,60014,70024,60044,40044,16045,87050,46060,360要介護425,17024,93023,67026,16026,16011,7009,60012,60014,70024,60046,47046,23047,97052,56062,460要介護527,21026,94025,74028,23028,23011,7009,60012,60014,70024,60048,51048,24050,04054,63064,530食費1日分の自己負担限度額は1日390円。居住費1日分の自己負担限度額は、多床室が320円、従来型個室が390円、ユニット型準個室が490円、ユニット型個室が820円。事業者が設定している食費と居住費が自己負担限度額を上回る場合は、厚生労働省が設定する標準の1日分の食費・居住費との差額を、行政が負担する。

介護老人福祉施設の要介護度別・居室種類別の所得水準第3段階の入所費

平成24年度改定の介護老人福祉施設の要介護度別・居室種類別の所得水準第3段階の入所費要介護度30日分の金額(円)[5][6][7]介護報酬の自己負担分食費居住費介護報酬の自己負担分+食費+居住費多床室2012年4月1日以前の設置多床室2012年4月1日以後の設置従来型個室ユニット型準個室ユニット型個室多床室従来型個室ユニット型準個室ユニット型個室多床室2012年4月1日以前の設置多床室2012年4月1日以後の設置従来型個室ユニット型準個室ユニット型個室要介護118,90018,69017,31019,77019,77019,5009,60024,60039,30039,30048,00047,79061,41078,57078,570要介護220,97020,73019,41021,87021,87019,5009,60024,60039,30039,30050,01049,83063,51080,67080,670要介護323,10022,86021,57024,06024,06019,5009,60024,60039,30039,30052,20051,96065,67082,86082,860要介護425,17024,93023,67026,16026,16019,5009,60024,60039,30039,30054,27054,03067,77084,96084,960要介護527,21026,94025,74028,23028,23019,5009,60024,60039,30039,30056,13056,03069,84087,03087,030食費1日分の自己負担限度額は1日650円。居住費1日分の自己負担限度額は、多床室が320円、従来型個室が820円、ユニット型準個室が1,310円、ユニット型個室が1,310円。事業者が設定している食費と居住費が自己負担限度額を上回る場合は、厚生労働省が設定する標準の1日分の食費・居住費との差額を、行政が負担する。

介護老人福祉施設の要介護度別・居室種類別の所得水準第4段階の入所費

平成24年度改定の介護老人福祉施設の要介護度別・居室種類別の所得水準第4段階の入所費要介護度30日分の金額(円)[5][6][7]介護報酬の自己負担分食費居住費介護報酬の自己負担分+食費+居住費多床室2012年4月1日以前の設置多床室2012年4月1日以後の設置従来型個室ユニット型準個室ユニット型個室多床室従来型個室ユニット型準個室ユニット型個室多床室2012年4月1日以前の設置多床室2012年4月1日以後の設置従来型個室ユニット型準個室ユニット型個室要介護118,90018,69017,31019,77019,77041,4009,60034,50049,20059,10069,90069,69093,210110,370120,270要介護220,97020,73019,41021,87021,87041,4009,60034,50049,20059,10071,97071,73095,310112,470122,370要介護323,10022,86021,57024,06024,06041,4009,60034,50049,20059,10074,10073,86097,470114,660124,560要介護425,17024,93023,67026,16026,16041,4009,60034,50049,20059,10076,10075,93099,570116,760126,660要介護527,21026,94025,74028,23028,23041,4009,60034,50049,20059,10078,21077,940101,640118,830128,730所得段階4は食費と居住費の減免対象ではないので、食費と居住費は介護老人福祉施設事業者が任意に設定する。上記の所得段階4の食費と居住費は、厚生労働省が公開している標準モデル価格である。大部分の事業者は食費は1日1,200~1,800円、30日36,000~54,000円、居住費は最も高いユニット型個室では1日1,800~3,500円、30日54,000~100,500円に設定している[11]。

高額療養費の自己負担限度額を設定する所得水準の分類編集

平成22年度改定の高額療養費の自己負担限度額を設定する所得水準の分類所得水準70歳未満の場合の自己負担の減免の対象と差額の負担[8][9][10]上位所得者被用者保険の場合は標準報酬月額が53万円以上。国民健康保険の場合は世帯の年間課税所得が600万円超過。一般所得者上位所得者と低所得者以外低所得者被用者保険の場合は被保険者が市町村民税非課税者、国民健康保険の場合は世帯主および世帯の被保険者全員が市町村民税非課税者(課税所得が211万円未満)。所得水準70歳以上の場合の自己負担の減免の対象と差額の負担[8][9][10]現役並み所得者後期高齢者保健・国民健康保険の場合は課税所得が145万円以上。被用者保険の場合は標準報酬月額が28万円以上。70歳以上の高齢者が複数いる世帯の場合、収入の合計額が520万円未満(70歳以上の高齢者が一人の場合は383万円未満)を除く。一般所得者現役並み所得者と低所得者以外低所得者2後期高齢者保険の場合は世帯員全員が市町村民税非課税者(課税所得が211万円未満)。国民健康保険の場合は世帯主および世帯の被保険者全員が市町村民税非課税者(課税所得が211万円未満)。被用者保険の場合は被保険者が市町村民税非課税者(課税所得が211万円未満)。低所得者1後期高齢者保健の場合は世帯員全員の所得が市町村民税非課税(課税所得が211万円未満)以下。国民健康保険の場合は世帯主および世帯の被保険者全員の所得が市町村民税非課税(課税所得が211万円未満)以下。被用者保険の場合は被保険者および被扶養者の所得が市町村民税非課税(課税所得が211万円未満)以下。年金収入のみの場合は年金受給額80万円以下。

所得水準による高額療養費の年間の自己負担限度額編集

平成22年度改定の所得水準による高額療養費の年間の自己負担限度額所得水準75歳以上70~74歳70歳未満介護保険+後期高齢者保険[8][9][10]介護保険+被用者保険または国民健康保険[8][9][10]介護保険+被用者保険または国民健康保険[8][9][10]70歳未満は上位所得者70歳以上は現役なみ所得者67万円67万円126万円一般所得者56万円62万円67万円低所得者2市町村民税世帯非課税等31万円31万円34万円低所得者1市村税世帯非課税年金収入のみの場合は年金収入80万円以下19万円19万円

脚注

関連項目

外部リンク

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